【ブランド】ラッド ミュージシャン 2020年春夏メンズコレクション、歪みや奇形により概念を解放する

ラッド ミュージシャン(LAD MUSICIAN)は、2020年春夏メンズコレクションを発表した

ギターの音を“認識できない”要素に変換

ラッド ミュージシャン 2020年春夏メンズコレクション、歪みや奇形により概念を解放する|写真44

“TRANSFIGURES THE GUITAR SOUNDS”をテーマに掲げた今シーズン着想源となるのは、ノイズ作家によるワード「ギターの音を認識できない要素に変換する」や、ザキュアー(THE CURE)の楽曲「LAST DAY OF SUMMER」、音楽批評家間章(あいだあきら)による「歪み奇形し、ずらしながら固定させようとするものからの解放を目指す」という言葉、ニューウェーブ、パンクなど衣服を通して、現存しているものから認識できない未知の要素への変換可能性や、既成概念からの離脱を表現した

前後を逆にしても着られるシャツやブルゾン

ラッド ミュージシャン 2020年春夏メンズコレクション、歪みや奇形により概念を解放する|写真18

象徴的なのは、陶芸家のハンスコパーの作業着からヒントを得て作られた、前後を逆にしても着ることのできるドレスシャツやコーチジャケット、パーカーだロングブラウスは、前後を逆に着ると祭服のようなワンピースにパーカーはフードを前にして着ると、ゆったりとした襟のルーズネックスウェットになる前後という既定の概念を反転させてもなおスタイルとして成立させることで、テーマにも共通する“変化の可能性”を示唆した

歪んだ花柄

ラッド ミュージシャン 2020年春夏メンズコレクション、歪みや奇形により概念を解放する|写真24

ノイジーな花柄は、サイトゥオンブリーの作品をイメージしたグラフィック2つの花の絵を重ねて歪ませぼかし、アーティスティックに仕上げている赤やピンク、紫、青といった鮮やかな色彩が揺らぐことで花の輪郭がぼやけて見え、浮遊感のある世界観を描き出しているブラックのテーラードジャケットやパンツに載せられたプリントは残像のように見えるのに対し、ホワイトのブラウスを飾る花々は躍動するタッチを思わせるペイントアートのようだ

揺らぐクロスや手錠モチーフ

ラッド ミュージシャン 2020年春夏メンズコレクション、歪みや奇形により概念を解放する|写真46

死神をモチーフにしたクロスの模様も絵画的形や大きさがまばらなクロスを連ねるようにして描いたオーバーサイズのテーラードジャケットやロングシャツは、布地の動きに伴って柄が揺れ動き、まるで意思を持っているかのようだダンコーレンの作品集 “Disappearing Act”から着想された手錠とチェーンのプリントから見えてくるのは、静けさと金属音のコントラスト相反する要素を共存させることによって、緊張感をも漂わせている

ひねりを加えたジャケット

ラッド ミュージシャン 2020年春夏メンズコレクション、歪みや奇形により概念を解放する|写真8

グラフィックもさることながら、ジャケットのバリエーションも注目したいポイントあえて左右で異なるデザインに仕立てたジャケットや、ライダース風のテーラードジャケット、シドヴィシャスが着用していたダブルブレストジャケットなど、テーラードジャケットという“型”にどこかひねりを加えてひずませているのがわかるその他、リフレクターと生地の色を揃えたMA-1ジャケットや、花柄のリバーシブルブルゾンなども揃える